メンバーファイル37                     静岡混声合唱団TERRA

平成14年3月30日(土):ベース、ラモちゃん
む:
 さて、いよいよベースのラモちゃんの登場です。パチ、パチ、パチ!え?なぜ「ラモ」かって?それは、彼を見れば、そのまんまです。さて聞いていきましょう!どんなきっかけから合唱に興味を持ったのですか?
ラモ:
 もともと小さい頃から音楽が好きで、中学からギターを始め、高校の時はブラバンでフルートを吹いていました。高校3年くらいの時、「俺たちの交響楽」という、「みんなでがんばって第九を歌おう」っていう内容の、いかにも松竹って感じの映画を見て、「いつか第九を歌いたい」と思ったのが合唱を始めたきっかけです。
む:
 合唱のどんなところに惹かれているんでしょうかね?
ラモ:
 これは難しいですね。自己満足かも知れませんが、ひとつのハーモニーを構成していく上で「自分の声もハーモニーの1部として主張している」という満足感かな?学生時代からずっと合唱を続けているというのは、時々、自分のツボに、ものすごくハマる曲に出会えるからです。そういう歌を歌える時って、ほんとに気持ちいいですよね。
む:
 そうなんですよね!決まった時の快感はいつになっても「ゾクッ」ときますね。 そうすると大学から合唱界に足を踏み入れたんですね?
ラモ:
 ええ、大学に入ってからです。もともと合唱をやってみたいという気持ちもあったのですが、「混声合唱団=女性がいっぱい」という、思春期の青少年にありがちな健全(?)な理由も、なかったとは言い切れません(笑)。
む:
 私は健全ではなかった・・・・?いえ!男声合唱もいいですよ。ねっ!!グリ−クラブ出身の皆さん!私は、グリークラブ大学卒業と言ってもおかしくないくらいクラブにはまってましたが、ラモちゃんは?
ラモ:
 私も大学では4年間フルに歌いました。所属していたコーラス部は、2年生か3年生になると引退するという悪しき(?)習慣が、はびこっていましたが、僕が4年間続けたことで、卒業するまで合唱を続ける後輩達も出てきて、うれしい限りです。
 大学時代は、狂ったように練習しましたねぇ。毎年、1年間で1000時間は歌ったと思います。合宿でも、一週間で50時間は歌ってましたよ。その辺の体育会系のサークルよりもキツかったんじゃないでしょうか。でも歌うことが大好きな自分にとっては、全然苦にはならなかったですけど。
む:
 私も合唱漬けでした。1000時間は歌いませんでしたが、昼休みも練習、土日も練習、合宿は10日間10時間ずつ都合100時間練習、なんて無茶もしましたね。大学時代は、楽器なども演奏していたんでしょうか?
ラモ:
 ギターを弾く程度だったですね。現在は、6年ほど前から、まっきん(元テラ)にピアノを習ってますが。
む:
 学生時代の特に印象に残っている曲はなんですか?
ラモ:
 「クレーの絵本」を歌った時は気持ち良かったですねぇ!あとはわりと、オーソドックスな曲を中心に歌っていました。大阪って、合唱団の数が多くて、毎年合唱祭には200団体くらい参加しいてたと思いますが、その合唱祭の打ち上げで「河口」「行こうふたたび」「秋のピエロ」「ウボイ」「いざ立て戦人よ」など、何百人の大合唱が始まるんですけど、大学1年生の私は、1曲も歌えなくて、悔しくって、とにかく「合唱の定番」という曲は、片っ端から歌えるようにしましたね。
む:
 京都も負けずに盛んでしたよ。(今でもかな?)ところで印象に残っているのは、三善晃の「クレーの絵本」だけですか?
ラモ:
 そうですね〜。歌詞の奥に隠されているドロドロ〜っとした悲哀に触れられるような曲がいいですねぇ。「月光とピエロ」「死んだ男の残したものは」「ひたすらな道」など・・・。特に谷川俊太郎の詩による合唱曲はすべて好きです。暗〜い内容(歌詞)の曲に名曲が多く、最初取っ付きにくいのですが、歌うごとに味が出てくるというか、奥が深いというか。♪ランララ〜ン的な明るい曲って、すぐに飽きちゃうんですよね。
む:
 作曲者にもよるんじゃないのかな?私は、やさしくきれいな曲よりも練習のたびに味が出てくるような曲の方が好きですね。その点、三善先生の曲は好きです。テラに入ったきっかけは?
ラモ:
 10年ほど前に静岡にやってきて、また合唱をやろうと、合唱のつどいを見に行きました。テラに決めたのは、歌の出来はまあまあでしたが、ステージで歌っている人、特にマミちゃん・ウルちゃん(今はOG)の表情が素敵で、伝わるものがあったからです。「ここにしよう!」とその場で決めました。
む:
 で・テラの雰囲気の感想は?
ラモ:
 とてもいい人ばかりだし、大学時代のコーラス部の雰囲気に似ていたので入団したばかりで知らない人達ばかりだったけど、居心地はすごく良かったです。もちろん今もそうですよ。
む:
 10年間のテラの活動(演奏会)で印象に残っていることは?
ラモ:
 第4回の団内演奏会ですね。レイちゃんがリーダーで、「流浪の民」「みなかみは母のふところ」などを歌った時です。あの時は、ほんとにみんな一生懸命練習して、学生時代に合唱に燃えていた感覚を取り戻しましたね。「最優秀歌唱賞」をヒロシさんからいただきました。
む:
 仕事はどんなことを?
ラモ:
 2年ほど前に会社を辞め、現在、フリーのコピーライターをしています。ライティング業全般はもちろん、広告企画や販売促進企画など、手広くやっていますので、どなたか仕事をください(笑)。
む:
 たしかラモちゃんは、他にもコーラス活動しているんですよね?
ラモ:
 現在、アカペラバンド「クレセント・クラン」とゴスペルバンド「ヴォイス・アンリミテッド」で歌っています。どちらも年に1度くらい自主ライヴを行っています。最近は結婚式で歌うことが多いですね。
む:
 クレセント・クラン、ヴォイス・アンリミテッドに入ったきっかけは?
ラモ:
 7年ほど前、NHK教育テレビの「ファイト!」という番組の「アカペラ大会」にクレセント・クランが出演していて、「楽しそうだなー、自分も歌いたいなー」と思って見ていました。彼らが「静岡○○大学出身」と知って、同大卒業のテラ・メンバーに「クレセント・クランって知ってるか?」と尋ねたところ、「私、あの人達の後輩なんだよー」と意外な答え。しかもメンバーの1人がなんとウチの近く! 彼女の紹介で、クランと知り合いになり、そのうち「メンバー増やしたいから入らない?」って誘われて、始めたんです。
 ゴスペルの方は、チアキさんの通う、ヤマハ・ゴスペル教室の主催者が「セミプロのゴスペルグループを作りたい。誰か歌える人いませんか?」とチアキさんに持ちかけ、その話に私がのって、オーディションで合格したんです。ゴスペル隊は、市内某ホテルの「ゴスペルウェディング」という企画を請け負っています。
む:
 現在のマイブームは何ですか?
ラモ:
 最近、クランとは別に新しいアカペラグループを立ち上げました。歌うことはもちろん、歌いたい曲をアカペラにアレンジしたり、何かと大変ですが、楽しくやってます。
 音楽以外では、「バリ島」にハマりまくってますね。今すぐにでもバリに住みたいくらい。数年前からインドネシア人にインドネシア語を習っていますが、今は忙しくてちょっとお休みしています。
む:
 歌、歌、歌、で忙しそうですね。これからテラでどんなことをしたい?またはしてほしいですか?
ラモ:
 今の日本で「合唱やってる」というと、結構バカにされたりするんですよね。でもそれも仕方ないと思っています。なぜなら、今の合唱界って、あまりにも世間一般の感覚とズレてるような気がするからです。
む:
 そのことはよく話題になりますね。
ラモ:
 何十年も前の時代の人による感覚で作られた音楽を現在も当たり前のように歌っていて、感覚的な進歩が成されていないように思います。もちろん、素晴らしい音楽というものは、いつの時代にも色あせないものですが。その辺の「変えてはいけないもの」と「変えていかなければならないもの」、その判断基準をしっかりと持ってもらいたいと思います。
む:
 たしかに、時代に合った曲というものは存在すると思いますね
ラモ:
 現代社会があり、現代音楽があり、そういう環境下に生きる人々の音楽に対する感覚はどのようなものか、合唱でもそれを踏まえて、新しい音楽を創造していって欲しいし、テラでも、現代人の心に響く曲を歌っていきたいと思います。
 テラが演奏会をやると、大抵お客さんはたくさん来てくれて、概ね好評をいただいていると思います。ですが、そういった、もともと合唱に興味のありそうなお客さんだけでなく、全然合唱に興味のなかった人達に合唱の魅力を伝える、そういうような活動をしていきたいです。現在のテラの客層なら、何を歌ってもそこそこウケるでしょう。ですが、そうでない人達の前では「ゲゲ〜、これだから合唱ってイヤなんだよなー」と言われそうな曲も多々あります。そういう人達に「合唱って意外とカッコいいもんだなー」と思わせるような選曲・演奏活動をしていきたいですね。
む:
 なるほど、選曲について時代にマッチするのも必要とも思いますが、どんな音楽にしろ、根底にある技術的なレベルアップが必要なのではないでしょうか?「ゲゲ〜」と思われるのはレベルがまだその曲を歌うのに達していない、またはその表現が現代にマッチしていないと言う事ではないのでしょうかね?今のテラのメンバーに望むことは?
ラモ:
 とにかく、いろんなジャンルの音楽を体験してください。
 合唱に対する知識・技術を高めることはもちろん大切ですが、でも「合唱オタク」には決してならないでください。音楽に対する視野が狭くなり、感覚も偏りがちになるので。(以前、自分がそうだったから)いろんな音楽を聞く、できれば聞くだけじゃなくて実際に体験してほしいです。
 自分も、アカペラやゴスペルを始めて、ヘヴィメタバンドのヴォーカルや「静岡のR&Bの女王」と呼ばれるような、これまで関わったことのなかった世界のミュージシャンと一緒に歌い始めて、いかに自分が、狭い世界でしか音楽に関わっていなかったかということを痛感しました。
 合唱とは違う系統の音楽の世界を知ることは、合唱を歌う上でも絶対に役に立ちます。単に技術的だけなことではなく、これまでとは違った角度から感性が磨かれます。「合唱をうまく歌いたいのなら、1度合唱から離れてみる」というのもひとつの手ではないでしょうか。(でもテラはやめないでね)
む:
 たしかに感性を育てるには、様々な音楽、舞台に接する事が、必要ですね。メンバーの皆さん、もっと広く音楽活動を楽しみましょうね!なかなか薀蓄のある、お話ありがとうございました。

本人の顔はイラストで紹介しています。

←ラモちゃんです。

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