春コン通信 Vol.4


【演奏曲のおはなし】

小正月も終わり、いよいよ春のコンサートまであと2ヶ月ほどとなりました。
今月から強化練習が始まり、気持ちもググッと引き締まります。

さて、今回のお話は、前回でも少しふれた演奏曲についてのお話。
選曲するにあたって、指揮者ヒロシさんが演奏曲としてイメージしたのは
これまでテラが歌ってきた曲の中で
・団員の多くが気に入っている曲
・これからも歌っていきたい曲
・聴いてくださる人にも喜ばれる曲
などなどでした。

それでは、演奏曲について技術委員会が解説をしてくれましたので
それをご紹介しましょう。

<アヴェ・ヴェルム・コルプス>
1791年 妻コンスタンツェの療養に訪れていたバーデンで、家族の面倒を見てくれたバーデン合唱長アントン・シュトルの為に作曲された。弦楽伴奏の小品で、きわめて素朴な手法でかかれ深い宗教的な心情を表明している。モーツアルトの最高傑作に数えられるほど、清潔かつ透明感があり高雅な作品。ラテン語のテキストは、教皇インノケンティウス4世の作といわれている。
TERRA結成まもなく「市民の文化の広場」(1981)で演奏した。

<鶴>
トルコ系アヴァ−ル人の、ガムザトフが広島原水爆禁止世界大会に参加した時の感動を元に詩を書き、ヤン・アブラモーヴィッチが作曲した。1973年にNHKロシア語講座でニキータ山下が言語で歌い、評判になった。その後ダーク・ダックスのメンバーが「中村五郎」のペンネームで日本語訳、「合唱団白樺」の指揮者中山秀雄が編曲し 1975年4月に初演。TERRAは「鶴」を歌いたく「白樺」に連絡を取り楽譜を譲り受けた。
東京混声合唱団との合同演奏(1990)は感動的であった。

<鉾をおさめて>
作詞・時雨音羽 作曲・中山晋平。この鉾は、古代の槍に似た武器ではなく、捕鯨のときに使うモリのことである。従ってこの歌は、船上での鯨の大漁を祝い朝日の中を母港を目指して勇んで帰る活発な情景を詠んだものである。
作詞者 時雨音羽は、自著の中で「この歌は鯨とりの歌だが、人々の青春から故郷の母へ捧げる歌でもある。私はこの世で一番美しいものは母の愛だと思っている。どんなに世の中が変わっても母の愛の美しさは変わらない。」と述べている。
TERRA第4回演奏会(1993)レパートリー。

<花〜すべての人の心に花を〜>
沖縄のカリスマ歌手と呼ばれる喜納昌吉作詞・作曲の歌。
喜納氏は、自著の中に「人々の痛さを吸収し、どうしようもなくなった時、本当にどこからか降りてきたのが〈すべての人の心に花を〉の歌詞だった。僕はあの詩を自分で作ったとは思っていない。この不思議な生まれ方をした曲に関しては〈授かったもの〉というふうにとらえている。」と述べている。この作品は、世界の平和と調和に寄与する日本の代表的な歌として選ばれた。
今回TERRAの新しいレパートリーとして加わった。

<三つの四行詩>
詩人 木島始は、自ら書いた四行詩を「われたまご」という詩集にまとめた。
そのたくさんの四行詩から三つを選んで、林光がバロック風のキーボード伴奏付き歌曲(「断章三つ」)にしたものを、作曲者自らによって、TERRAのために二重合唱用にリライトされたものである。
TERRA第5回演奏会(1997)において初演された。

<岩手軽便鉄道の一月>
劇団黒テントのバラエティ「宮沢賢治第二旅行記」のために1985年に作曲された歌を1989年に混声合唱用にリライトされたもの。「宮沢賢治旅行記」は、
宮沢賢治の作品数編を選び、一切の脚色を廃して原文そのままをテキストに、
数人の役者達が演じる黒テント独特の舞台芸能である。詩は、「春と修羅 第三集」(作品第四〇三番)より採られたものである。
TERRA第5回演奏会(1997)レパートリー。

<うた>
高橋悠治と水牛楽団の呼びかけで開催されたワレサ議長率いる「連帯」支援の集会「ポーランド緊急支援コンサート」(1982)の為に制作された。
劇作家 佐藤信の構成による、年表と引用文と5つの歌による「ワルシャワ労働歌のうた」の中の一曲。
TERRA第5回演奏会(1997)レパートリー。

<歩いてゆこう>
1966年発行の月刊誌「おてだま」2月号に掲載された、山形在住の詩人 きくたよしひろの作った「歩いてゆこう」の詩に、玉川学園教諭の小宮路敏氏が作曲したもの。行進曲風の元気な曲で、「サア」の掛け声が効果的である。
TERRAでは、お客様にも参加していただく曲を「Together Song」と呼んできたが、そのレパートリーの一つとして創立当初から歌っている曲である。

<水ぬるむ五月>
TERRA20周年記念第6回演奏会(2000)のために発案から5年、制作に2年をかけてTERRAが創作した合唱曲の終曲。水上勉の童話「ブンナよ、木からおりてこい」より、TERRAがテキストを練り、東京芸術大学卒の根岸圭さんに作曲を依頼した。
物語は冒険好きのカエル「ブンナ」が、鳶の餌場とは知らずに登った椎の木のてっぺんで餌である動物たちの死に際を見聞した話。
最終曲「水ぬるむ五月」は九死に一生を得て帰還した「ブンナ」の生に対する前向きな思いを歌にしたもの。

<君をのせて>
宮崎駿監督のアニメ映画「天空の城ラピュタ」の主題歌。作詞は宮崎駿、作曲は久石譲。
今回は倉知達也氏が混声合唱用に編曲したものを歌う。
TERRA第5回団内演奏会(1999)で発掘されたレパートリー。

<大地讃頌>
1962年、作曲者の佐藤眞が東京芸大在学中に作曲した。混声合唱のためのカンタータ「土の歌」の最終楽章の曲。「土の歌」は農夫と土、祖国と土、死の灰、もぐらもち、天地の怒り、地上の祈り、そして、大地讃頌の全7楽章からなり、初演は、岩城宏之指揮・NHK交響楽団・東京混声合奏団により行われた。
TERRAでは第3回演奏会(1989)で「土の歌」を全曲演奏し、大地讃頌は愛唱曲として常に歌いつづけてきている。

<しずおか賛歌 富士よ夢よ友よ>
1990年に、静岡県に誇りと愛着を感じ、県民の心を結ぶシンボルとなるよう企画され、県民から応募された作詞(1048編)作曲(1668曲)の中から選ばれた。
オリジナル版ではミュージカルシンガーの島田歌穂が歌っている。
作詞は藤枝市在住の白鳥時次さん、作曲はTERRAの代表・指揮者 南荘宏であるがために、演奏する機会も多く、最も得意とするレパートリーの一つ。




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