| 第25回 ブンナからのメッセージ 
テキストの件、心ゆくまでお話し合い下さい。どのみち後に議論百出するテキストに曲をつけることはできません。
 より佳いものとなることを期待しております。
 
1999年12月12日に作曲の根岸圭さんから届いた電子メールです。年内に渡すべきシナリオ確定稿が遅れていました。
 
第4曲「つぐみのうた」が終わり第5曲へ続く途中で、ブンナの語りが入る。このテキストをどうするか。
 シナリオ作り最後の胸突き八丁でした。
 木からおりてきたブンナが、冒険の総括を皆に伝える場面、
 物語の(そして、この組曲の)メッセージを明示するところです。
 
シナリオ担当者たちは検討会を重ね、そのたびに改良案が電子メールで飛び交いましたが、
 議論の末、次の2案に絞られました。
 
それぞれ提案者の名からK案とH案としましょう。
 
K案は、原作・第11章にあるブンナの言葉そのままです。原作のテキストを尊重するという姿勢を貫いたものです。
 
H案は、第11章に加えて第10章「ながい冬をブンナが木のうえでかんがえたこと」からもテキストを採用し、
メッセージとして組み立て直してあります。
 この語りを、オペラでいえば主役によるクライマックスのアリアと位置づけ
 想いのたけをすべて語らせた結果、長い台詞になりました。
 
終曲を前に物語を総括したい気持ちは理解できましたがH案は説明的で劇的で、語りの比重も重すぎるということで、
 結局、原作のテキストをそのまま採ったK案に落ち着きました。
 
これをさっそく圭さんに伝えて、その返事。
 
お送りいただいたテキスト、拝見させていただきました。簡潔、且つ(説明然としていずに)ブンナの言葉であり、
 とてもよいと思いました。
 この内容でしたら、台詞にかぶる音楽はつけない方がいいでしょう。
 必然的に、懸案の第一曲との示導動機による関連はなくなります。
 それに呼応させて、各曲間に独立した間奏は設置しない方向で作曲を進めます。
 即ち、各曲(第1、2、3、4、5曲)が独立し(attaccaを含みます)、
 間奏として新たな要素を入れないスタイルにします。
 
1999年12月16日未明の発信。今日の
「名前はまだない」猫の名前TERRA20周年の2000年は、もう目の前でした。
 
 
 
 
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参照。
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